「仕事で使う文書の作成を依頼されたが、正しい書き方がわからない」

「ビジネスライティングを身につけて、伝わりやすい文章を書けるようになりたい」

 

仕事で文章を書くときや社外向けの資料を作成するときに、このような悩みを感じている方は多いのではないでしょうか。

 

ビジネスシーンで使われる文書には、文章の型や書き方のルールがあります。

型やルールを無視して好きなように書いてしまうと、誤った情報を伝えて信頼を失うといったトラブルにもつながりかねません。

 

この記事では、ビジネスライティングのスキルを身につけるメリットと、ビジネス文書を作成する際に意識するべきポイントを紹介します。

 

質の高いビジネス文書は、社内の業務効率化や取引先との信頼関係構築に役立ちます。

記事の内容を参考にして情報が正しく伝わるビジネス文書を作成し、仕事をスムーズに進めましょう。

 

ビジネスライティングの目的は相手に行動を起こしてもらうこと

ビジネスシーンで使用する文書では、書き手の意図する内容や情報が読み手に正しく伝わることが第一。

さらに、読み手が「次はなにをすればよいのか」を明確に理解している状態が理想です。

 

ビジネスライティングの目的

 

主旨が明確で内容がわかりやすく、読み手が次の行動をイメージしやすい文章が、ビジネスライティングの本質といえます。

 

悪い例

広報部の〇〇ですが、来月の講演会に登壇してもらえる人を探しているのでご連絡ください。

よい例

5月15日におこなわれる講演会にて、短いスピーチをしていただく登壇者を募集しています。ご対応の可否を、広報部・〇〇までご一報いただけますと幸いです。

 

このように、次になにをすればよいのかが書いてあると、行動に移しやすい上にやり取りの回数も減るメリットがあります。

文章が上達するだけでなく、業務効率化やトラブル防止にもつながるビジネスライティングのノウハウは、社会人にとって必要不可欠かつ一生役に立つスキルです。

 

ビジネス文書には社内向けと社外向けの2種類ある

ビジネス文書は「社内文書」と「社外文書」の2つに分類できます。

文書の種類ごとに作成する目的や記載すべき内容が異なり、状況や読み手に応じて表現の使い分けが必要なので注意しましょう。 

文書の種類

文書の目的

具体例

社内向け文書

企業の内部に情報を伝える

議事録、業務命令書

社外向け文書

社外に情報を発信する

見積書、案内状

 

議事録や業務命令書のような社内文書には、企業の内部向けの情報が記載されています。

 

簡潔な表現で明確な指示をおこない、読み手が求める情報をもれなく記載することで、「なにを伝えたい文書なのか」「次はなにをすればよいのか」を正しく伝える役割です。

見積書や案内状、プレスリリースのような社外文書は、取引先や顧客など社外とのコミュニケーション手段として用いられます。

 

自社の価値観や行動指針をふまえつつ、読み手への敬意と配慮をもった表現を使い、信頼感や安心感を与えることが社外文書の目的です。

 

社内文書と社外文書の違いを正しく理解し、場面や状況に応じたライティングをおこないましょう。

 

連絡や報告を目的とした社内文書

まずは企業の内部活動に関わる社内文書についてです。

業務命令書や社則、議事録、稟議書などがこれに該当します。

 

読み手全員に正しい情報を素早く伝えることを目的とし、トラブル防止や業務効率化が期待できます。

 

社内文書を作成する際には必ず以下の5つの情報を明記して、読み手による解釈の不一致を防ぎましょう。

過度にていねいにする必要はありません。簡潔かつ伝わりやすい文章が大切です。

 

社内文章の基本的レイアウト

 

敬意を示して信頼感を与える社外文書

社外文書は、取引先や顧客など社外の人に向けの文書のこと。

 

見積書や契約書、案内状、プレスリリースなどがこれに該当します。

読み手の立場を尊重し、敬意を与える表現を使うことで、友好な関係性の維持や信頼感の向上が期待できます。

 

社外文書には以下の5つの情報を盛り込みましょう。

忙しい取引先の担当者や顧客にも情報が正しく伝わり、誠実な印象を与えられるため自社のブランディングにもつながります。

 

社外文章の基本レイアウト

 

ビジネスライティングを身につけるメリット

ビジネスライティングを身につけると、以下のようなメリットが得られます。

 

ビジネスライティングを身に着けるメリット

 

情報が伝わりやすい文書を作成することで誤伝達や確認の手間が減り、トラブル防止や業務効率化が期待できます。

 

情報の要点を簡潔にまとめて正確に伝える文章能力は、ビジネスシーンに限らず日常のコミュニケーションにおいても活かされるでしょう。

 

業務効率化や認知度向上につながる

 

悪い例

新しいサービスをリリースしました。

よい例

2021年12月、株式会社リモラボは女性向けリモートワーク実践スクール『リモラボ』をリリースいたしました。

 

ビジネスのあらゆる場面において、情報を正確に伝えることは非常に重要です。

業務指示書やプレスリリースを読んだ人が「結局なにが伝えたかったの?」「読んでも内容がよくわからなかった」と感じてしまうようでは、せっかく文書を作成した意味も半減してしまいます。

 

文書の内容や要点をわかりやすくまとめることで、社内・社外で情報が伝わるスピードも上がり、業務効率化や認知度向上につながります。

特に社外文書を作成する際には、読み手が一読しただけで必要な情報を得られる構成や書き方を意識することが重要です。

 

情報の誤伝達によるトラブルを防げる

 

悪い例

前に話したあの件を急ぎで終わらせておいてください。

よい例

先日15日の会議で議題に上がった〇〇の件について、今月末までに修正対応をお願いいたします。

 

型に従ったライティングを意識すれば、情報の誤伝達や認識ミスによる事故・トラブル防止につながります。

要点が伝わりにくい資料は、誤解・判断ミス・時間や資源の浪費による生産性の低下など、さまざまなリスクの原因になることも。

 

社外向け文書に記載した情報が正しく伝わらなかった場合、取引先との関係性悪化や顧客からのクレーム・サービスの解約など、取り返しのつかない事態にもつながりかねません。

 

このような問題やトラブルを回避するためにも、ビジネスライティングを身につけ、情報が正しく伝わるビジネス文書を作成することが必要です。

 

情報や企業の信頼性が高まる

 

悪い例

お問い合わせにはすぐに対応します。

商品を買った人はみんな満足しています。

よい例

お問い合わせいただいた件については、2営業日以内に対応させていただきます。

商品をご購入いただいたお客様の98%から「満足した」とのお声をいただいております。

 

誰が読んでも理解しやすく解釈の不一致がおこらないビジネス文書は価値が高く、情報の信頼性も高まります。

 

もちろん文書内に誤ったデータや情報が含まれていないことは大前提ですが、読み手によって解釈が異なる文章は誤解の原因となります。

自分が意図した内容が伝わらず困った経験は、誰もがありますよね。

これが顧客との間で起きてしまうと、企業全体の信頼性を損ねてしまうかもしれません。

 

特に、顧客や世間に向けて情報を発信する場合には、誰が読んでも正しく伝わる文章を意識しましょう。

情報を省略しすぎずに書いたり、具体的な数字を使うなど、読み方によって意味が変わらないように注意したいですね。

 

日常でも活かせるコミュニケーション能力が身につく

 

悪い例

お父さんは明日までにAとBとCを、お母さんは週末までにDとEとFをやっておいてね。

よい例

お父さんへのお願い(明日まで)
・A ・B ・C

お母さんへのお願い(週末まで)

・D ・E ・F

 

ビジネスライティングで身につくスキルは、仕事中に限らずプライベートでも有効です。

友達や家族とチャットをしたりSNSで情報を発信したりする際にも、ビジネスライティングのノウハウが役に立ちます。

 

誤解を生まない表現や、相手に行動を起こしてもらうための言い回しを使うと、友人や家族との日常的なコミュニケーションも円滑になります。

 

情報を正しく伝える方法が身につくと、自然と相手の話の重要なポイントも理解しやすくなり、人間関係のコミュニケーション力向上にもつながるでしょう。

 

ビジネス文書を作成する際のポイント5選

ビジネス文書を作成する際には、5つのポイントを意識しましょう。

 

ビジネス文書を作成するときのポイント5選

 

読み手が理解しやすい文章を書くためには、一度に伝える情報の量をなるべく減らすのがおすすめです。

たくさん書くほど伝わるかというとそうではありません。

 

常に読み手の立場になり、読みやすい文章を書くよう心がけましょう。

そのポイントを5つに分けてご紹介します。

 

読み手のことを考えた文章を書く

まずビジネスライティングをおこなう際には、常に読み手のことを考えながら文章を書きましょう。

もちろん情報を正しく伝えることも大切ですが、読み手に違和感やストレスを感じさせることなく、最後まで文章を読み進めてもらうことも重要です。

 

専門用語や難しい単語を使う場合は、相手のレベル感を考えて注釈や説明が必要な場合もあります。

情報の引用元や数値で根拠を示すことも、読み手に優しい文章を作成するうえでのポイントです。

 

自分は理解しているからといって、伝えたつもりの文章にならないよう気をつけましょう。

 

基本の型に忠実に書く

ビジネスシーンで利用する文章は、基本の型に従うと書きやすいです。

型どおりに文章を書くだけで読み手の理解を手助けし、結論や要点を正しく伝える文章になります。

 

有名な文章構成の型として、ここでは「PREP法」と「SDS法」を紹介します。

文書の種類や伝えたい内容に応じてこの2つを使い分け、情報が伝わりやすい文章を書きましょう。

 

文章の型

文章の構成

メリット

PREP法

結論→理由→具体例→結論

先に結論を伝えて読み手の集中力が高まる

SDS法

要点→詳細→要点

先に要点を伝えることで話に一貫性が生まれる

 

結論から伝えるPREP法(プレップ法)

結論(Point)→理由(Reason)→具体例(Example)→結論(Point)」の順に情報を伝えることで説得力を高め、読み手の理解を深める文章の型をPREP法と呼びます。

 

話の序盤で結論と理由を伝えてから具体例で内容をイメージさせ、最後にもう一度結論を述べることで、話の要点が明確になり読み手のストレスが軽減します。

読み手は最初に結論を知り、話の全体像をつかんだ状態で続きを読むため、内容が記憶に残りやすい点がポイントです。

 

要点を強調するSDS法

要点(Summary)→詳細(Details)→Summary(要点)」の順に情報を伝えることで無駄な内容を省き、要点を明確かつ確実に伝えられるのがSDS法です。

 

読み手の集中力が高い序盤に要点を伝え、内容が頭に入った状態で詳細を無駄なく伝えることで、話に一貫性が生まれます。

最後に要点をもう一度繰り返すことで読み手の記憶に残りやすくなるSDS法は、ニュースやプレゼンでも多く用いられる方法です。

 

50文字以内で一文一義を意識する

読み手にストレスを感じさせることなく情報を正確に伝えるために、一文一義を意識しましょう。

一文一義とは、「ひとつの文で伝える情報をひとつに限定する」という意味です。

 

一文の中に言いたいことが複数含まれていると、読み手は本当に大事な情報を見落としてしまうかもしれません。

 

一文の長さの目安は50文字以内です。企業のペーパーレス化が推奨されていることにより、ビジネス文書の電子化も進みつつあります。

一文を50文字以内におさめることで、スマートフォンやタブレットで表示された際にも見やすく、読み手のストレス軽減になりますよ。

 

文章の目的を明確にする

文書を作成した目的や伝えたい内容、読み手が次に取るべき行動は、はっきり・具体的に書きましょう。

書き手は正しく理解しているつもりでも、読み手には重要なポイントが全く伝わらないといったケースは多くあります。

 

誰が読んでも理解できる文章になっているかチェックするには、ライティングを終えたら少し時間をあけて読み返してみましょう。

重要な情報は、文字の大きさを変更したり太字に変えて目立たせるのもよいですね。

 

上司や同僚からフィードバックを受けるのも、文章の改善点に気付けるよい機会です。

 

冗長表現や文末表現・誤字に気を付ける

文章を読みにくくする、冗長表現や違和感のある文末表現が使われていないかを確認し、誤字・脱字チェックもおこないましょう。

特にビジネス文書での誤字・脱字は、信頼性の低下にもつながってしまいます。

 

ビジネスライティング初心者によくあるミスを以下にまとめたので、参考にしてください。

 

ミスの種類

ミスの内容

よくある間違いと修正案

冗長表現

話の流れに無関係な言い回しを使い、無駄に長く読みづらい文章になる。

「〇〇するようにしましょう」→「〇〇しましょう」

「〇〇という訳ではありません」→「〇〇ではありません」

文末表現

・文末の表現がそろっていない。

・同じ文末表現が繰り返され、読み手に違和感を与える。

「です」「ます」など、同一表現の繰り返しは最大2回まで。ひとつの文章内では「ですます調」と「である調」を統一する。

誤字・脱字

別の資料からコピペをしたまま日付や内容が修正されていない、同音異義語や慣用句の使い方が間違っている。

※引用以外のコピペはNG

「おさめる」→納、収、治

「すすめる」→進、勧、薦

「いどう」→移動、異動、異同

「ほしょう」→保障、保証、補償

 

ビジネスライティングを上達させる方法は?

ビジネスライティングを上達させる方法として、主に次のようなものがあります。

 

ビジネスライティングを上達させる方法は?

 

ビジネス文書で用いる表現や言い回しは、日常的な会話で使用する言葉と異なるものも多く、慣れるまでは執筆に時間がかかるかもしれません。

既存の業務指示書や他社のプレスリリースなどを参考にして、少しずビジネスつライティングに慣れていきましょう。

 

上質なビジネス文書を参考にしよう

ビジネス文書では固く形式的な表現が使われていることも多く、最初は最適な言葉が思いつかないかもしれません。

構成や言い回しを一から自分で考えようとせず、既存の上質なビジネス文書に目を通してどのように書かれているか雰囲気をつかみましょう。

 

参考例としては、有名な大企業のプレスリリースや政府が国民向けに作成した書類、地方自治体が発行する行政文書などがおすすめです。

格式が高く丁寧でわかりやすい表現が使われており、ビジネスライティングの際のよいお手本になります。

 

ネット上から文書のサンプルデータをダウンロードして、必要な情報を修正・加筆して使ってみるのもよいでしょう。

 

上司や同僚からフィードバックを受けよう

ライティングに行き詰まったときや文書が完成したあとには、上司や同僚にデータを共有してフィードバックを受けましょう。

細心の注意を払ったつもりでも、情報の抜け漏れや誤字脱字といったミスは生じてしまうものです。

ビジネス文書には内容の正確性と情報の網羅性が求められるため、必ず複数人で目を通してミスを防ぎましょう。

 

他者からのフィードバックを受けるのは、最初は気が進まないかもしれません。

でも文章のクセや言葉の誤りは、なかなか自分では気付けないもの。

 

伝わりにくい言い回しや不適切な表現がないか、信頼できる仕事仲間にチェックしてもらいましょう。

自分以外の第3者の目線はとても大切です。

 

検索や研修で知識とスキルを身につけよう

書籍やネット検索でビジネスライティングについての情報を調べて、知識を身につけましょう。

ライティングに関する書籍には、初心者に必要な知識がまとめられているので参考になります。

 

ネット上にも有益な情報を発信しているサイトがたくさんあるので、検索結果で上位表示されている記事に目を通してみましょう。

 

ライティングのスキルを身につけるオンライン講座や研修を受講するのも効果ありです。

動画や講義で基礎知識を学んだうえで実際にライティングまでおこない、プロの講師から添削やフィードバックを受けられると、実践的なスキルが身につきます。

 

ネットや辞書で正しい表現を調べよう

正しい敬語や適切な言い回しがわからないときには、ネットで検索して疑問を解決しましょう。

ネットの情報がすべて正しいとは限らないので注意は必要ですが、Q&Aサイトであなたの悩みが解決する場合もあります。

 

ネット上の情報に不安がある場合は、辞書を引くとよいでしょう。

慣れ親しんだ表現のなかにも、意味や使い方を誤って覚えてしまっているものはたくさんあります。

用語の意味や使い方に不安を感じたら面倒くさがらず辞書を引き、正しい用法を確認する癖付けをしましょう。

 

とにかく手を動かしてライティングに慣れよう

本やネットで情報収集をし、知識やスキルを身につけるインプットは大切ですが、アウトプットをしなければライティングは上達しません。

まずは実際に手を動かして、ビジネス文書の書き方に慣れる必要があります。

 

知識だけあっても書いてみるとなかなかうまくはいかないものです。

実際に手を動かして文章を書き、上司や同僚からフィードバックを受けながら試行錯誤を重ねましょう。

 

徐々にライティングのスピードも上がり、質の高いビジネス文書が書けるようになります。

 

ビジネスライティングは一生モノのスキル!

情報を素早く正確に伝えるビジネスライティングは、仕事でもプライベートでも役に立つ一生モノのスキルです。

ビジネスシーンで使用する文書を作成する際には、読み手の理解しやすさを最優先に考えましょう。

 

ビジネスライティングを身につければ、社内の業務効率化やコミュニケーションの活性化が期待できます。

情報が誤って伝わることも減るため、トラブルやクレームの防止にもなるでしょう。

 

要点がまとまっており読みやすいビジネス文書は、企業の信頼感を高め、ブランディングにも貢献します。

 

少しでも早くライティングスキルを身につけるには、とにかく手を動かしながら実際に文章を書いてみるのが一番です。

仕事以外でもあらゆる場所で役立つスキルなので、ぜひ身につけたいですね。